心臓
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症例 卵円孔開存を伴い興味ある経過を示した原発性肺高血圧症の1例
笠井 俊夫岡野 嘉明中西 宜文吉岡 公夫国枝 武義今北 正美由谷 親夫広川 恵一
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1996 年 28 巻 2 号 p. 157-162

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抄録

症例は21歳男性.15歳頃より労作時の息切れ,倦怠感を自覚していた.19歳時,突然の胸部圧迫感,呼吸困難,高度倦怠感が生じ入院となった.初診時より既にチアノーゼ, バチ指, 多血症が存在し,らに単冠状動脈(Liptonらの分類のRII-A),卵円孔開存(PFO)の合併を認め,各種検査より原発性肺高血圧症(ppH)と診断した.酸素吸入と血管拡張療法により自覚症状は改善し,その後約1年間は在宅酸素療法により小康状態であったが,網膜中心静脈閉塞症,右心不全の増悪のため再入院し,2カ月後に突然死した.死後剖検より,原発性肺高血圧症(ppH)+PFOと確診された.PPHは原因不明の進行性疾患であり,予後は極めて不良である.PFOの合併は20%内外で,一般に患者の生命予後を改善すると考えられており,最近ではPPHの患者に肺移植へのつなぎとしてカテーテルによる心房中隔切開術も試みられている.本症例においてもPFOの存在が生命予後を改善した可能性はあるものの,低酸素血症に起因する重篤な合併症が生じ,患者の「生活の質」(QOL)は著しく損なわれた.今後,本邦においても心房中隔切開術の適応を考える上で,十分検討すべき問題点を提示していると考え報告した.

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