心臓
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症例 拡張型心筋症様病態において冠動脈塞栓により急性心筋梗塞症を併発した3症例
上北 和実舟山 直樹藤田 勉腰山 博昭
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1998 年 30 巻 6 号 p. 371-377

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抄録

拡張型心筋症(DCM)あるいはその類似の病像を呈し,冠動脈塞栓による急性心筋梗塞症(AMI)を併発した3例を経験した.3例とも心拡大,心収縮性低下の他,心不全症状と心房細動を有し,親・同胞に心臓病の家族歴があった.3例中2例に脳梗塞の既往歴が,3例中1例に長期間の飲酒歴があった.いずれもAMI発症前の経胸的心エコー図から心内血栓を描出できなかった.AMI発症時の緊急冠動脈造影(CAG)では3例中2例に右冠動脈,残り1例には左冠動脈前下行枝に閉塞を認め,冠動脈内血栓溶解療法を第1選択とした.CAG上,3例とも高度の冠動脈攣縮はなく,症例1では過去のCAG上病変を認めなかったが,AMI発症時に血栓による陰影欠損像を認めたこと,症例2では再疎通後の血管内エコー像では閉塞部位に内膜肥厚,プラーク,石灰化病変がなかったこと,症例3では再疎通後のCAG上病変を認めなかったことから,AMI発症に冠動脈塞栓が関与していたと思われた.なお,3例中2例には抗凝固療法がなされておらず,残り1例は不十分な抗凝固療法であった.DCMはもとよりDCM類似の病像を呈する症例において,心不全症状,心房細動,脳梗塞を合併した場合,たとえ心内血栓を発見できなくとも,心不全の治療のみならず,血栓塞栓症の予防のために厳重な抗凝固療法による管理が必要である.

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