心臓
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第8回体表心臓微小電位研究会 パネルデスカッション“T Wave Alternans”をめぐって 虚血性心疾患とT Wave Alternans
池田 隆徳杉 薫坂田 隆夫安部 良治山口 徹
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1998 年 30 巻 Supplement6 号 p. 54-58

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抄録

虚血性心疾患(IHD)患者におけるmicrovoltレベルでのT Wave Alternans(TWA)検出に影響を及ぼす因子について検討した.冠動脈造影でIHDと診断された114症例を対象とし,CH2000を用いて運動負荷中にTWAを検出した.ノイズ軽減のため,負荷を鉛絶縁の検査室で背臥位の自転車エルゴメーターを使用し行った.TWAの陽性基準は,alternans voltage>1.9μVかつalternans ratio>3.0が1分以上持続する場合とし,その陽性率を1)年齢,2)性別,3)心拍数の違い,4)運動負荷量,5)壁運動異常の有無,6)異常Q波の有無,7)負荷中のST変化の有無,8)T波陰転の有無で評価した.年齢,性別,運動負荷量,ST変化の有無で有意差は認められなかった.しかし,壁運動異常の有無(p=0.0008)と,異常Q波の有無(p=0.0008),T波陰転の有無(p=0.014)の比較では有意差が認められ,壁運動異常を有するか,異常Q波あるいはT波陰転を認める例で有意にTWA陽性率は高かった.また,TWA陽性率は心拍数を上昇させることで高率となり,その検出に個々の症例で心拍数閾値が存在した.
IHD患者における微小レベルでのTWAは,高度の壁運動異常や異常Q波を有する例で陽性となり易く,心筋障害の程度を反映している可能性があることが示された.

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