抄録
目的:体表面P波加算平均心電図(SAE)を用い,洞不全症候群における心房遅延電位の有無について検討した.
対象:発作性心房細動を合併しない対照例(C群)25例.洞不全症候群(S群)は発作性心房細動を合併しない洞房ブロック症例14例に対して検討した.
方法:SAEは,P波同期で200心拍加算し,以下の項目に対して検討を行った.filtered P波持続時間(FP), filtered P波初期成分10msのrootmeansquare(RMS)電位(PRMS10),filtered P波終末部20msのRMS電位(LRMS20).心エコーで左房径(LAD),左室拡張期径(LVDD)および左室駆出率(EF).胸部X線で心胸郭比(CTR)を測定した.
結果:1.LAD,LVDD,EF,CTRは2群間に有意差なし.2.FPはC群に比し,S群で有意に大.(C群126±8.7ms vs S群143±16.9ms)3.PRMS10はC群に比し,S群で有意に小.(C群1.36±0.93μV vs S群1.12±0.53μV)4.LRMS20はC群に比し,S群で有意に小.(C群2.23±0.14μV vs S群1.71±0.14μV)
総括: 洞房ブロック例では, f i l t e r e d P 波の初期成分および終末部に遅延電位が認められた.