抄録
症例は58歳男性.僧帽弁形成術施行後の心房粗動(AF)に対しカテーテルアブレーション(RF)を施行した.AFは粗動周期247msec,F波は心電図上II,III,aVFで陰性,V1誘導で陽性であった.AF中の心内マッピングでは心房興奮は三尖弁周囲反時計方向に旋回し,右房解剖学的峡部(isthmus)からの高頻度刺激にてconcealed entrainmentが得られ通常型AFと考えられた.三尖弁-下大静脈間の線状焼灼中に頻拍周期は314msecと突然延長し,心電図上P波の波形は変化した.冠静脈洞(CS)からヒス束(HBE)の興奮伝播はHBEからCSへ移行したため,isthmusブロックにより非通常型AFに移行したものと考えられた.右房切開線に沿って留置した20極カテーテルにてAF中double potential(DP)が記録され,DPの初期成分は後壁を下降,後半成分は前壁を上行する興奮伝播様式を呈し,切開線前後および下方でconcealed entrainmentが得られた.以上より切開線周囲を旋回する頻拍と考えられ,切開線下端から下大静脈へRFを施行しAFは停止,アブレーションに成功した.開心術後の2つの異なる心房性リエントリー性頻拍に対しカテーテルアブレーションを施行し,根治し得た症例を報告した.