抄録
急性心不全において,入院時血清クレアチニン(Cre)値が1.4mg/dl以上の腎機能障害を伴う症例(40例)をhANP(ハンプ(R))群と非hANP群の2群に分け,hANPの臨床的有用性について検討した.入院時血清Cre値が3mg/dl以上の症例は,hANP群,非hANP群とも入院経過中にさらにCre値の上昇を認めた症例が多かった.一方,入院時Cre値が3mg/dl未満の症例においては,hANP群,非hANP群ともにCre値は上昇したが,hANP群では投与2~3日後の一時的な上昇以降Cre値は有意に低下し,腎機能の改善が認められた.hANP群は心不全改善時の有意なCre値の低下が退院時まで持続したが,非hANP群ではCre値の改善を認めず,hANP群における腎保護作用が示唆された.