心臓
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第16回心臓性急死研究会 救急救命士による指示なし除細動で,心室細動から救命,社会復帰しえた1例
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2004 年 36 巻 Supplement3 号 p. 18-23

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抄録

症例は35歳の男性.失神,突然死の家族歴はない.平成15年4月1日午前9時3分頃,通勤途中の電車内で,突然意識消失.駅員が午前9時7分救急隊を要請した.モニター上心室細動(VF)で,救急隊により午前9時15分電気ショックを施行,午前9時24分再度VFとなり,2回めの電気ショックを施行した.その後洞調律を維持し,午前9時45分他院救急救命センターに搬送された.到着時意識レベルは,昏睡状態,JCS300,血圧135/82mmHg,心拍数116/min,洞性頻脈で,瞳孔は3mm大,対光反射を認めず,脳保護のため低体温療法を開始した.復温とともに意識状態は回復し,神経学的にも後遺症を認めなかった.心臓超音波検査,冠動脈造影,アセチルコリン負荷検査を行ったが,異常所見は得られず,当院へ紹介入院した.トレッドミル運動負荷試験,pilsicainide負荷試験では異常所見を認めなかった.6月10日に行った心臓電気生理検査で,Baselineでは不整脈は誘発されなかったが,isoproterenol負荷後の右室期外刺激(400/200ms)で,VFが誘発され,特発性VFと診断し,ICD(植え込み型除細動器)を挿入した.本症例は,医師の指示なく,救急救命士の判断で行った電気的除細動によって一命をとりとめ,さらに社会復帰し得た本邦第1例目の症例であった.

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