植物環境工学
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論文
産地特定のための水耕野菜への元素導入によるマーキングシステムの開発(第1報)
-単一元素溶液の浸漬処理とレタス可食部の無機元素濃度との関係-
白 光潔中原 光久村瀬 治比古上野 大介赤尾 勝一郎染谷 孝井上 興一
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18 巻 (2006) 4 号 p. 299-305

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抄録

野菜への無機元素によるマーキングシステムの開発を目的として, 水耕レタスにラベル可能な元素の種類について検討した. 天然賦存量が小さいかあるいはヒトや植物に対して比較的毒性の弱い7元素(Ba, Sr, Mo, Co, Cu, Ni, V)をマーカー候補元素として選択した. これらの元素を種々の濃度で培養液に加え,2種類のレタス(Lactuca sativa L., 品種:レッドファイヤーおよび楽天) を栽培した.Ba, Sr およびMo の全処理区, Cu の0.25 および0.50 mg l-1 処理区, Ni の0.05 ~ 0.50 mg l-1 において, 両レタスとも対照区と変わらず良好な生育を示した. これに対して, Co, Cu およびNi の5.00 mg l-1, Cuの10.00 mg l-1 処理では, 生育が不良であった. V は, ほとんどレタスに吸収されなかった. レタス地上部のBa, Sr, Co, Mo, Cu およびNi 濃度は,培養液中における当該元素の実存濃度の増加に伴って直線的に増加した. また, 数種の処理区において生体重470 g (厚生労働省が推奨する大人1日あたりの野菜の摂取量) 当たりに含まれる無機元素量は1日許容摂取量あるいは1日耐容摂取量を下回ると同時に天然賦存量の上限値を明らかに上回った. これらの結果から, Ba, Sr, Mo, Co, Cu, およびNi は適当な処理濃度で栽培する場合は, 産地特定のためのマーカー元素となる可能性が示された.

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© 2006 日本植物工場学会
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