植物環境工学
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論文
ロックウール耕における培養液濃度がミシマサイコ(Bupleurum falcatum L.)の生育, サイコサポニン濃度と無機成分濃度に及ぼす影響
兼子 まや塚越 覚藤瀬 茜池上 文雄
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2013 年 25 巻 2 号 p. 83-89

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抄録

生薬「柴胡」の基原植物であるミシマサイコについて, 養液栽培での施肥管理法確立を目的とし, 灌液する培養液のECと生育, サイコサポニン含有量, 植物体中の無機成分組成との関係について調査した. ミシマサイコの栽培は, PVCパイプを利用した循環式ロックウール耕で行った. 培養液は大塚B処方とし, 処理区は灌液する培養液濃度について0.6 dS m-1 (1/4単位区), 1.2 dS m-1 (1/2単位区), 2.4 dS m-1 (1単位区)の3水準とした. 地上部の生育, 最大葉の葉面積および草丈は, 1単位区で他の区に比べて低下したが, 地下部乾物重には処理の影響がなかった. T/R比は1単位区で他の区より低かった. 乾物重当たりのサイコサポニン含有量には処理区間で差がなかったが, 株当たりのサイコサポニン収量は, 1単位区で最も高かった. 植物体中の無機成分濃度は, 概して1単位区で高い傾向があったが, 植物体中の無機成分の含有比はいずれの区も同様の傾向を示した. また, ミシマサイコに好適な培養液の無機成分組成はN:P:K:Ca:Mg=6.5:4.7:8:1.3:1.8 me L-1程度と考えられた.

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© 2013 日本生物環境工学会
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