植物環境工学
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環境制御下における二酸化炭素および5-アミノレブリン酸含有肥料の併用がスターチス・シヌアータの初期生育に及ぼす影響
森 志郎千野 浩輝
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2018 年 30 巻 3 号 p. 165-171

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抄録

育苗中における環境制御下での二酸化炭素と5-アミノレブリン酸(ALA)含有肥料の併用がスターチス・シヌアータ‘蒼雲’の初期生育に及ぼす影響を調査した.7.5 cmのポリエチレン製ポットに苗を植え,昼温20 ℃/夜温15 ℃,12時間日長(PPFD 74 μmol m-2 s-1)に設定した2台の人工気象器で試験した.週に一度液肥を与える対照区,液肥にALA含有肥料を加えて施用するALA区,明期に5時間,二酸化炭素濃度を1200 μmol mol-1に高めるCO2区,二酸化炭素とALA含有肥料を併用するCO2+ALA区を設けた.試験開始5週後,CO2区では全ての調査項目において対照区との間に明らかな差はみられなかった.ALA区では対照区と比較して葉面積と地上部新鮮重,地上部乾物重の値が有意に高まった.CO2+ALA区では葉数増加率,SPAD値,葉面積,地上部新鮮重,地上部乾物重,地下部乾物重,地下部乾物率の値が対照区と比較して有意に高かった.これらの苗を用いて3ヵ月間栽培したところ,切り花の収量や品質について試験区間で有意な差はみられなかった.本試験では,光の弱い環境制御下において高二酸化炭素濃度条件下でのALA含有肥料の施用はスターチス・シヌアータの初期生育を促進することが明らかとなった.

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© 2018 日本生物環境工学会
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