2020 年 32 巻 2 号 p. 115-121
沿面放電を利用した液中プラズマ照射によるP. aphanidermatum遊走子の殺菌特性を調べた.P. aphanidermatum遊走子初期濃度が約2.0×104 mL-1の蒸留水50 mLに対して,約10 Wのアルゴンプラズマを5分照射することで発芽率を20 %以下に抑制でき,10分以上の照射で発芽率を5 %以下に抑制できた.25 ℃で24時間培養した後の培地を観察した結果,5分のプラズマ照射では遊走子を完全に死滅させることができず,コロニーが培地全体に拡がって形成された.他方,10分もしくは15分のプラズマ照射では,コロニーが数か所もしくは全く確認できない状態まで遊走子を殺菌できた.また,プラズマ照射に伴うガス吹き付け効果,プラズマ発光,温度上昇,H2O2濃度の発芽率抑制効果と比較した結果,H2O2濃度が発芽率抑制に寄与することが確認できた.しかしながら,その発芽率抑制効果はプラズマ照射ほどは高くないことから,OHラジカル等のプラズマ特有の効果が寄与していることが示唆された.