日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第57回日本小腸学会学術集会
セッションID: S5-1
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主題セッション5 小腸内細菌異常増殖(SIBO)における診断と治療の標準化を目指して
当院における小腸内細菌異常増殖(SIBO)の診断・治療の現状と問題点
*横山 邦彦川田 雄三坂牧 僚高村 昌昭横山 純二寺井 崇二
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抄録

【背景】 近年、小腸内細菌異常増殖(SIBO)と様々な疾患とのかかわりが指摘され注目されている。その診断法として腸吸引液の定量培養、あるいは水素・メタン呼気試験が有用とされているが、一定の見解は得られていない。

【目的】 当院では2018年度から水素・メタン呼気分析装置(Breath Gas Analyzer BGA-2000D:呼気生化学栄養代謝研究所)をSIBOの診断として用いている。診断・診療の現状と問題点につき考察を行った。

【結果】 これまでに健常者20人、患者20人に対し呼気試験を行ってきた。偽陽性を避けるため、呼気試験検査前の食品制限や、禁食時間の設定、検査当日の口腔内洗浄などの工夫が必要であった。摂取する糖質は患者への負担を考えグルコース50gを使用しており、糖尿病患者のみラクツロース10gを用いているが、ほぼ問題なく施行できている。

【考察】 呼気試験は食事内容の影響を受けやすく、前処置や診断基準について一定の見解がないことが問題である。基礎疾患のない健常者において適切な前処置を行った場合でも糖質負荷前の呼気中水素濃度が高いことがある。そのため診断基準には負荷前の基礎値と負荷後のpeak値の差を用いることが有用と考えられる。当院では負荷前後で呼気中水素濃度が20ppm以上上昇した場合を陽性としているが、診断基準作成のためにはさらに症例の蓄積が必要である。

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© 2019 本論文著者
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