日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第58回日本小腸学会学術集会
セッションID: S4-7
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シンポジウム4 小腸難治性疾患の診断と治療の新知見
免疫チェックポイント阻害薬関連腸炎における小腸病変の検討
*梁井 俊一赤坂 理三郎鳥谷 洋右中村 昌太郎石田 和之菅井 有松本 主之
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抄録

【目的】免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor: ICI)による治療に際しては、免疫関連有害事象(immune-related adverse event: irAE)に注意する必要がある。irAEとしての大腸病変(ICI関連大腸炎)の特徴に関する報告は散見されるが、小腸病変については不明な点が多い。そこで、ICI投与例における小腸障害の特徴を検討した。

【方法】2015年12月から2020年5月までにICI(ニボルマブ、イピリムマブ、デュルバルマブ)の投与をうけた患者のうち、ICI大腸炎と診断した14例(男性9例、女性5例:平均年齢63.1歳)を対象とし、小腸病変の有無、臨床像、および画像所見を遡及的に検討した。

【成績】基礎疾患の内訳は悪性黒色腫7例、腎細胞癌5例、非小細胞肺癌2例であった.14例中1例は潰瘍性大腸炎の治療中であった。PD-1ないしPD-L1単剤投与が6例(単剤群)、PD-1/CTLA-4の併用療法が6例(併用群)、スイッチ治療が2例(スイッチ群)で施行された。腹部CTで小腸壁肥厚が認められた症例は単剤群6例中1例、併用群ないしスイッチ群8例中5例であった。大腸内視鏡検査で終末回腸を観察できた症例は14例中11例で、そのうち6例で粘膜病変を認め、いずれも併用群ないしスイッチ群であった。終末回腸の内視鏡所見は、顆粒状粘膜2例、びらん2例、発赤1例、潰瘍1例と多彩であった。病理学的には6例中3例でアポトーシスが認められた。併用群の1例でカプセル小腸内視鏡が施行され、全小腸にびらんを認めた。

【結論】PD-1/PD-L1単剤療法よりPD-1/CTLA-4の併用ないしスイッチ治療で小腸傷害が生じる可能性がある。

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© 2020 本論文著者
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