日本小腸学会学術集会プログラム・抄録集
Online ISSN : 2434-7019
Print ISSN : 2434-2912
第58回日本小腸学会学術集会
セッションID: O3-2
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一般演題3
小腸濾胞性リンパ腫治療後に小腸びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)として再燃を認めた一例
*池上 幸治蔵原 晃一大城 由美末永 文彦井本 尚徳村田 征喜原 裕一清森 亮祐浦岡 尚平浦田 真吾
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抄録

 症例は60歳代の男性。201X年に横行結腸癌に対し腹腔鏡補助下横行結腸切除術+リンパ節郭清(D2)を施行後、化学療法後に撮影したCTで、術前に小腸間膜脂肪織炎と考えられていた病変が半年で増大していた。PET-CTにて同部と十二指腸にFDG集積を認めた。カプセル小腸内視鏡とバルーン小腸内視鏡で、十二指腸から空腸にかけて集簇しながら多発する白色顆粒状隆起を認め、生検にて中型異型リンパ球が濾胞構造を保ちながら増殖しており、CD20、bcl-2、CD10がいずれも陽性で濾胞性リンパ腫(Grade 1)、Lugano国際会議分類StageⅡ-1と診断した。国際予後因子は低リスクであったが、R-CHOP療法6コースにより完全寛解となり、以後経過観察していたところ、自覚症状は特になかったが、濾胞性リンパ腫治療から3年半後のCTで小腸間膜のリンパ節腫大を認め、正常範囲内で経過していた可溶性IL-2受容体も507U/mLと軽度上昇していた。カプセル小腸内視鏡で上部小腸に辺縁白色絨毛を伴う潰瘍性病変を認め、経口的バルーン小腸内視鏡では近傍の襞腫大となだらかな周堤様隆起を伴う軟らかい潰瘍性病変を呈していた。周囲に白色顆粒状隆起ははっきりしなかった。生検で大型異型リンパ球のびまん性増殖が認められ、CD20とbcl-2は陽性であったがCD10陰性で、DLBCLの診断となった。Lugano国際会議分類StageⅡ2でR-EPOCH療法を開始した。小腸濾胞性リンパ腫のhigh grade transformationは稀であり、小腸病変の形態変化を追えた貴重な症例と考え報告する。

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© 2020 本論文著者
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