食品衛生学雑誌
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調査・資料
瓶詰め食品のキャップシーリング中の可塑剤使用実態及び食品への移行
津村 ゆかり開原 亜樹子石光 進吉井 公彦外海 泰秀
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2002 年 43 巻 6 号 p. 377-384

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抄録

国産23試料,輸入80試料,合計103試料の瓶詰め食品のキャップシーリング中の可塑剤の種類及び含有量を調査した.103試料中93試料から炎色反応により塩素を検出した.そのうち62試料からフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)(DEHP),フタル酸ジイソデシル,アジピン酸ジ(2-エチルヘキシル),フタル酸ジイソノニル,フタル酸ジシクロヘキシル,クエン酸アセチルトリブチル,ジアセチルラウロイルグリセロールのいずれか又は複数が検出された.DEHPが検出されたもののうち12試料については,瓶内容物中の可塑剤含有量も調査した.油脂分の含まれる流動性の高い食品に対して,DEHPの移行が認められたが,1回の摂取で耐容一日摂取量を超えるものはなかった.またDEHPが最も多く検出された食品について,種々の保存条件における移行量を検討した結果,振とうによってキャップシーリングから食品へのDEHPの溶出が促進されることが示唆された.

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© 2002 公益社団法人 日本食品衛生学会
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