食品衛生学雑誌
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イオントラップ型GC/MS/MSによる農産物中低濃度レベルの残留農薬測定
井上 智子佐々木 さおり内川 誠二平原 嘉親塩見 幸博外海 泰秀
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2003 年 44 巻 6 号 p. 310-315

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抄録

食品中のきょう雑物のためGC分析が困難な冷凍枝豆,とうもろこし,ほうれんそう,紅茶,ウーロン茶または緑茶を前処理した試験溶液に有機リン系農薬のクロルピリホスおよび有機塩素系農薬のα-BHC, β-BHC, γ-BHC, δ-BHC, p,p'-DDD, p,p'-DDE, o,p'-DDT, p,p'-DDT, アルドリンおよびディルドリンを0.01~0.125 μg/mL,エンドリンを0.02~0.25 μg/mL添加し,イオントラップ型GC/MS/MSで測定した.その結果,GC/MSのスキャン法やSIM法では食品マトリックスの影響によって正確に定性,定量できなかった上記農薬をいずれも高感度に測定することができた.また,各食品試験溶液にエンドリンが0.02 μg/mL,それ以外の農薬が0.01 μg/mLになるように添加したところ,61.2~138.3%が回収された.これらの結果から,GC/MS/MSは,食品マトリックスの妨害のためGC/MSでは検出が困難な低濃度の農薬の定性および定量に適していることが明らかになった.

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© 2003 公益社団法人 日本食品衛生学会
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