食品衛生学雑誌
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調査・資料
フグ鰭の毒性
本田 俊一市丸 俊一荒川 修高谷 智裕野口 玉雄石崎 松一郎長島 裕二
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2007 年 48 巻 5 号 p. 159-162

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抄録

日本の伝統食品として珍重されているフグの鰭は,その食用可否について皮の毒性を基準として判断されている.しかし,実際にその毒性を調査した例は少ないため,皮が有毒であることが知られているナシフグ,ショウサイフグおよびマフグの3種について鰭と皮の毒性を調べた.ナシフグの毒力は皮が<5∼1,200 MU/gであったのに対し,鰭が<5∼52.4 MU/gで,鰭の毒力は皮に比べて低い傾向を示したが,皮と鰭における毒の主成分はいずれもTTXで,毒成分組成は変わらなかった.一方,ショウサイフグとマフグの毒力は鰭と皮で同程度であった.マフグの尾鰭を水洗いして乾燥させると,毒力は<10∼12.0 MU/gから16.5∼22.0 MU/gと見かけ上高くなったが,水分含量を補正すると試料の毒量に著しい減少は見られなかった.以上の結果から,皮が有毒とされるフグは鰭も毒性を示し,乾燥させても毒性は消失しなかったため,鰭は食用不可と判断された.

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© 2007 公益社団法人 日本食品衛生学会
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