J-STAGE トップ  >  資料トップ  > 書誌事項

食品衛生学雑誌
Vol. 58 (2017) No. 3 p. 132-142

記事言語:

http://doi.org/10.3358/shokueishi.58.132

ノート

日本では毎年,有毒キノコの誤食による食中毒が数十件発生している.食中毒の原因究明のために行われるキノコの肉眼・顕微鏡観察による形態学的鑑別法は,高度な菌類学の専門知識を要するうえ,キノコが原形をとどめていない食中毒検体(喫食残品や患者吐物)には適用が困難である.そこで,種の同定に有用とされるDNAバーコーディング法(塩基配列解析による種同定)を応用した種特異的プライマーの設計によるキノコのスクリーニング法について検討した.日本で食中毒事例のあるキノコのうち,5種類のキノコ(オオワライタケ,オオシロカラカサタケ,ニガクリタケ,スギヒラタケ,カキシメジ)について種特異的なプライマーを作製した.本法は調理および人工胃液による処理の影響を受けず,湿試料100 mgのキノコ(DNA 10 ng)を,約2時間半で検出可能であった.キノコによる食中毒疑いが発生したとき,本法によるスクリーニング検査と同時に,ITS1領域の塩基配列解析による確認検査を行う.塩基配列解析には約9時間以上要することから,本法と塩基配列解析を併用することにより,検査精度を担保するとともに,保健所や衛生研究所等において,より迅速な食中毒対応が可能になると考える.

Copyright © 2017 公益社団法人 日本食品衛生学会

記事ツール

この記事を共有