食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
Print ISSN : 0015-6426
ISSN-L : 0015-6426
報文
LC-MS/MSを用いた畜水産物中のニトロイミダゾール類および主要代謝物の分析法
坂井 隆敏 根本 了手島 玲子穐山 浩
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 58 巻 4 号 p. 180-187

詳細
抄録

畜水産食品中のニトロイミダゾール類(イプロニダゾール(IPZ),ジメトリダゾール(DMZ),メトロニダゾール(MNZ)およびロニダゾール(RNZ))およびこれらの主要代謝物(イプロニダゾール-ヒドロキシ体(IPZ-OH),メトロニダゾール-ヒドロキシ体(MNZ-OH)および2-ヒドロキシメチル-1-メチル-5-ニトロイミダゾール(HMMNI))の7化合物について,高感度かつ高精度な分析法を開発した.試料から酢酸酸性下アセトンで抽出し,アセトニトリル/ヘキサン分配による脱脂後,スルホン酸塩修飾ジビニルベンゼン-N-ビニルピロリドン共重合体ミニカラムを用いて精製した.ミニカラム溶出液中の各化合物を硫酸アンモニウム存在下酢酸エチルで抽出し,抽出液を濃縮・溶媒除去後,残留物を0.1vol%ギ酸に溶解し,試験溶液とした.測定はLC-MS/MSを用い,ESIによるポジティブモードで行った.開発した分析法を用い,畜水産物10食品について添加回収試験(各食品n=5)を実施したところ,真度74.6~111.1%,併行精度0.5~8.3RSD%の良好な結果が得られた.また,定量下限値は,IPZ,IPZ-OH,MNZおよびMNZ-OHについては0.0001 mg/kg,DMZ,RNZおよびHMMNIについては0.0002 mg/kgに設定可能と考えられた.

著者関連情報
© 2017 公益社団法人 日本食品衛生学会
前の記事 次の記事
feedback
Top