食品衛生学雑誌
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カンパチの生食に伴う有症苦情事例残品中のUnicapsula seriolae寄生量の定量的解析の検討
大西 貴弘 小原 徹也新井 沙倉吉成 知也小西 良子
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2018 年 59 巻 1 号 p. 24-29

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抄録

カンパチの生食に伴う有症苦情29事例の喫食残品中に含まれるUnicapsula seriolaeの定量を行った.定量リアルタイムPCR(qRT-PCR)を用いて検体中のU. seriolae 18S rDNAを検出したところ,26検体で陽性となった.U. seriolae DNAが検出された事例の潜伏時間は1~12時間付近に集中(77%)していた.事例の発生に明瞭な季節性は認められなかった.患者の主な症状は下痢,嘔吐であった.U. seriolae DNAが検出された事例残品中の胞子数を測定したところ1グラム当たり1.9×105個から1.7×107個だった.しかし,市場で購入したカンパチから定量限界値以上の胞子は検出されなかったことから,事例の発生にU. seriolaeが関与している可能性が示唆された.胞子数とDNAコピー数の相関性は低かったが,胞子を計数できた事例のDNAコピー数は1グラム当たり107コピー以上だった.喫食量が判明している11事例について摂取胞子数を推定したところ,最小で3.8×106個であった.

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