食品衛生学雑誌
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茶およびコーヒーのKudoa septempunctata不活化効果に関する研究
大西 貴弘 古屋 晶美新井 沙倉吉成 知也後藤 慶一工藤 由起子
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キーワード: 寄生虫, 食中毒, クドア
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2019 年 60 巻 2 号 p. 22-25

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抄録

緑茶抽出液,紅茶抽出液およびコーヒー抽出液のKudoa septempunctata(以下クドア)不活化効果について検討した.一般的に飲用する条件で抽出した緑茶抽出液,紅茶抽出液またはコーヒー抽出液と104個のクドア胞子を混合すると,4時間でクドアの生残率が0%になった.これらの飲料に含まれているカフェインとカテキンの効果を検討したところ,一般的にコーヒー抽出液に含まれていると考えられている2 mM ,緑茶抽出液に含まれていると考えられている1 mMのカフェインでは生残率はそれぞれ68.2,93.3%になった.また緑茶抽出液,紅茶抽出液には1 mM以上のカテキンが含まれているが,0.1 mM以上のカテキンでクドアの生残率は0%になった.緑茶抽出液の100倍希釈液に相当する0.01 mMのカテキンと混合すると生残率は20%になった.以上の結果から,緑茶抽出液,紅茶抽出液およびコーヒー抽出液には強力なクドア不活化効果があることが明らかになった.また,少なくとも緑茶抽出液,紅茶抽出液に関しては不活化効果の主体はカテキンであることが示唆された.

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© 2019 公益社団法人 日本食品衛生学会
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