2022 年 63 巻 2 号 p. 51-61
溶出試験は器具・容器包装の規格適合性や安全性を確認するうえで重要な試験法であるが,溶出操作から定量までを含めた溶出試験全体の試験室間共同試験はほとんど実施されていない.そこで,22機関が参加し,広範なオクタノール/水分配係数を有する10物質を添加した8種類の合成樹脂製モデル試料を用いて試験室間共同試験を行い溶出試験全体の精度を検証した.その結果,HorRat (r)は大部分が基準を満たしたが,HorRat (R)は基準を超過したものが多かった.そのため,単一試験室で行うには精度は概ね確保されるが,試験室間の精度には問題があった.この主な原因としては,試験機関間における溶出操作時の温度や時間管理等の試験溶液の調製操作の差異によるものと考えられた.