食品衛生学雑誌
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HPLCおよびLC-MS/MSによる食品中の遊離型パントテン酸の分析
堀江 正一 渡邉 萌多田 敦子佐藤 恭子
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2023 年 64 巻 1 号 p. 47-52

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抄録

食品に含まれる遊離パントテン酸の迅速かつ精度の高い分析法を構築した.高タンパク食品の試験溶液は,試料2 gに水20 mLを加えてホモジナイズ抽出後,15%硫酸亜鉛水溶液1 mLを加えてよく混合し,遠心分離後,上清をろ過して試験溶液とした.低タンパク食品は,試料2 gに1%ギ酸水溶液20 mLを加え,ホモジナイズ抽出後,遠心分離し,上清をろ過して試験液とした. HPLCの測定条件は,分離カラムはL-column2 ODS,移動相は0.02 mol/Lリン酸一カリウム水溶液(pH 3.0)–アセトニトリル(95 : 5)を用い,検出波長は200 nmとした. LC-MS/MS条件は,分離カラムにL-column2 ODS,移動相に5 mmol/Lギ酸アンモニウム水溶液(0.01%ギ酸含有)–メタノール(85 : 15)を用い,検出には多重反応モニタリング(MRM)を用いた.本法による調製粉乳や栄養機能食品等に対する添加回収率は, 88%以上と良好な結果が得られた.都内で市販されているパントテン酸含有表示のある食品を分析した結果,表示値とほぼ同じ分析値が得られ,HPLCとLC-MS/MSで得られた値には,高い相関が認められた.

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© 2023 公益社団法人 日本食品衛生学会
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