2023 年 64 巻 2 号 p. 89-93
ドクササコの模擬調理品3種(天ぷら,煮物,しょう油汁)について,有毒成分であるアクロメリン酸A, Bおよびクリチジンの多成分同時分析法が適用可能であるか検討を行った.いずれの調理法においても3種類すべての成分を検出することができ,分析に影響する妨害ピークは見られなかった.このことから,ドクササコ中毒発生時に調理残品を試料として原因キノコを高精度に特定可能であると判断した.また,汁物調理品において有毒成分の大半が汁中に溶出していることを見いだし,この性質を利用して食用キノコ中にドクササコが混入している場合でも迅速なスクリーニングが可能であると明らかにした.