米国で中国産乾燥きくらげに関連したサルモネラ食中毒が発生したことを契機に,輸入時の自主検査で乾燥きくらげから分離されたサルモネラ属菌の型別および陽性検体における定量試験,衛生指標菌数の測定を行った.サルモネラ属菌が20検体から分離され,主な血清型は,Weltevreden,London, Typhimurium (単相変異型を含む),Saintpaul,Stanley,Potsdam,Newportなどであった.検体残量のあった10検体について定性・定量試験を行ったところ,3検体で25 gあたりサルモネラ属菌陰性であり,1検体で220 MPN/g,6検体で<0.6 MPN/gであった.また,一般生菌数および大腸菌群数は,平均7.8および6.1 log10 CFU/gであった.また,国内流通乾燥きくらげ製品の調査では,25 gあたりサルモネラ属菌陽性の検体はなく,一般細菌数および大腸菌群数は上述の10検体よりも平均2 log10 CFU/g程低い値を示した.本研究では,国内流通製品からサルモネラ属菌は分離されなかったが,輸入時の自主検査では食中毒の報告がある血清型も分離されたことから,国内においても,乾燥きくらげを喫食する際には注意が必要であることが示された.