食品衛生学雑誌
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甲殻類アレルギー物質検査で偽陽性をもたらすアミを検出するためのPCR法の構築
菅野 陽平 青塚 圭二細川 葵鈴木 智宏
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2024 年 65 巻 3 号 p. 48-52

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抄録

アミは真軟甲亜綱フクロエビ上目アミ目に属する小型の甲殻類であるが,エビ・カニが属する真軟甲亜綱ホンエビ上目十脚目には含まれないため特定原材料の表示義務の対象ではない.これまでエビ・カニを対象とした食品中のアレルギー物質検査において,アミによる偽陽性が疑われるワカサギ加工食品があったが,アミの確認法がなく特定には至らなかった.そこで,本研究でアミ検出用PCR法を構築した.本PCRは,エビ類,カニ類,オキアミ,シャコ,ワカサギ(筋肉部)では増幅が認められず,極めて高いアミ特異性を有していた.ワカサギ内臓部から抽出したDNAでは本PCRで増幅を示し,この増副産物のシークエンスは,アミと一致した.この結果からワカサギの内臓内にアミが残存することが明らかとなった.本アミ検出用PCRを用いることにより,偽陽性の原因がアミの混入かどうかを明確に判定可能となる.

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