2025 年 66 巻 1 号 p. 12-18
食品添加物として使用されるアミノ酸は,食品添加物公定書(JSFA)において,ニンヒドリン反応による確認試験が規定されている.ニンヒドリン試験は,ルーヘマン紫(RP)の生成に基づく紫色を目視で判定するもので,特別な装置を必要としないことから,広く社会に普及している.このような背景から,RPをモニタリングするための客観的かつ分子選択的な観察法はこれまで十分に検討されていなかった.本研究では,RPを特異的にモニタリングするためのUHPLC/MS/MS法を開発し,目視による判断を補足できる方法を確立した.その結果,多重反応モニタリング(MRM)モードで検出可能なRP由来のフラグメントイオンとして,m/z 170および133を見出した.この2つのフラグメントイオンは,紫色の呈色強度とMS検出強度に相関があることが示され,さらに計算化学によって暫定的な分子構造が推定された.これは,ニンヒドリンテストの客観性を補完する新しい分析法である.