食品衛生学雑誌
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乳および乳製品の衛生試験に関する研究 (I) 液状乳の総固形分の簡易迅速定量法 (その1)
菰田 太郎可児 利朗弓削 清一郎
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1961 年 2 巻 1 号 p. 69-74

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抄録

著者らは液状乳の総固形分の測定のため, 従来の加熱乾燥法によるA. O. A. C. 法 (1955) に改良を加え, 簡易な迅速定量法を考案した.
本法で使用するひょう量ざらは, 重量110~120mgのアルミニウム箔で作り, 試料採取前のさらのひょう量に要する時間, および安価なために一度使用したものは捨て去ることによって, 測定後のさらの洗浄操作に要する時間を短縮した.
試料の採取には, 特に考案したオストワルド型ホールピペットを用いた. このピペットは20℃の水0.98mlを18~20秒間で排出するもので, これを用いて25℃の液状乳をとれば1.00gが採取できる. 容量的に試料を採取する場合には, 試料の温度と比重を考慮しなけれげならないが, 試料の温度は25℃とし, 比重による補正は特に行わなくても, 1.00gを採取しうるとみなすことができる.
ただし, きわめて比重の大きい試料, たとえば濃厚な加工乳, 特別に濃い牛乳または原料乳については, 補正を考慮しなければならない. 前述の採取量については, 比重1.030の液状乳の場合に成り立っているものである.
きわめて精密に総固形分を測定しようとする場合には試料の採取量を正確にひょう量しなければならない.
乾燥条件にはA. O. A. C. 法そのままとし, 電気浴または水蒸気浴を用いて98~100°で3時間としたが, なおこの時間の短縮については, さらに検討を加えている.
ひょう量に使用する天びんについては, 固形分を精密に測定する場合は, 天びんの精度が高く, 感量の小さいはかりを用いるが, 簡易な現場試験のためには, 感量0.5mgのトージョンはかりでよい.
加工乳, 牛乳および生乳などの各種の試料について, A. O. A. C. 法と比較して総固形分を測定したところ, その測定値がほとんど一致した.

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