食品衛生学雑誌
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シイタケにおけるカドミウム濃縮性とその化学形について
大江 章夫杉谷 哲山田 不二造
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1981 年 22 巻 5 号 p. 345-350_1

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抄録

シイタケのカドミウム (Cd) 含量 (湿重量換算平均: 0.17ppm) は他の植物性食品 (37種) の平均Cd含量の約6倍であり, シイタケの栽培原木に対するCdの濃縮係数は他金属の濃縮係数より大きく, シイタケにおけるCdの特異的濃縮性が示唆された. シイタケ細胞中のCdは可溶分画と核に多く, 特に可溶分画のCd量は全Cd量の約50%であった. シイタケホモジネートの粗上清液のCdは, ゲルろ過によって分子量30,000以上の分画Fr-Iと分子量3,000以下の分画Fr-IIとに2分され, 両分画のCd含量比は約2:1であった. Fr-II中のCd含有低分子量物質は, 分子量が約700であり, ニンヒドリン反応陽性, pH 8.0で260nmの紫外部吸収極大波長をもつことよりペプチドと考えられた.

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