米中の残留有機リン農薬は炊飯によって減少するが, その減少量は dimethoate の20%から Ronnel の93.5%と幅広く変動する. 本研究では, これらの減少がどのような現象によって生じるのかを明らかにするため, モデル実験系によって14種の有機リン農薬の加熱分解性及び水蒸気蒸留性を検討した. 実験した有機リン系農薬は, 1) 加熱分解及び水蒸気蒸留を受けにくい化合物2) 熱的に安定であるがやや水蒸気蒸留されやすい化合物3) 熱的に不安定又は蒸留されやすい化合物に分類することができた. これらの結果から, 炊飯による米中有機リン系農薬の挙動を説明することが出来た.