食品衛生学雑誌
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代謝における腸内細菌の関与
ラットの腸内細菌による没食子酸プロピルの代謝
新村 寿夫大谷 千津子山羽 力
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1986 年 27 巻 2 号 p. 163-170_1

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抄録

ラットの腸内細菌による没食子酸プロピル (PG) の代謝を研究した. ラットの糞由来混合菌をPGと嫌気培養したとき, 培地中にレゾルシノール (R) を蓄積した. PG加水分解菌としてラットの糞から Klebsiella pneumoniae 1 株を分離した. この株はPGから没食子酸 (G) を経てピロガロール (P) を培地中に蓄積した. またG脱炭酸菌として Streptococcus faecalis 7 株及び Enterobacter aerogenes 2 株を糞から分離した. P脱水酸化菌を純粋分離できなかったが, 糞由来の Escherichia coliStreptococcus sp. の混合菌はPを脱水酸化してRを生成した. この脱水酸化は乾燥菌体でも行われ, これに関与する酵素は誘導酵素と思われた. これらの結果はPG代謝のうちGの脱炭酸及びPの脱水酸化に腸内細菌が関与するとした推定を支持した.

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