γ線照射グレープフルーツの検知法を検討する目的で, 照射によるグレープフルーツ中のβ-ピネン量の変化と発芽への影響を調べた. グレープフルーツ中のβ-ピネンは,γ線照射に対して分解しやすい精油成分の一つと報告されているが, 本実験においては30~200kradで照射しても分解しなかった. 50kradで照射したグレープフルーツを10°, 2か月間保存しても,β-ピネン量に変化はなかった.β-ピネン自体は比較的γ線照射に対して安定であり, 1Mrad照射しても分解しないことから, 検知法への利用の可能性は低かった. 一方発根への影響は少ないものの, 発芽に対しては30krad照射群でも抑制され, 発芽を指標とする検知法の可能性は高かった.