細菌性経口感染症に卓効ありとされる民間伝承薬, 梅肉エキスの抗菌作用を腸炎ビブリオの生菌数減少を指標として in vitro で検討した. 1. 0.2%のコール酸含有ペプトン培地では中性付近でコール酸との共存下でのみ認められ, その有効濃度は約1%である. 2. その抗菌作用はクエン酸にのみ認められた. 3. 梅肉エキスを1%小腸内容物モデル溶液に加えるとpHは8から6に低下した. 4. 梅肉エキスの主成分は約32%のクエン酸, 約11%のリンゴ酸であった (9種類の平均値). 従って, 梅肉エキスの摂取量によっては, その酸度により微アルカリ性の小腸内容物のpHを低下させ, 胆汁の主成分であるコール酸との共存下で主成分のクエン酸が抗菌作用を発揮する可能性も推察される.