1990 年 31 巻 5 号 p. 409-413_1
4週齢の雌ラットに120日間にわたってビタミンE (VE) 欠乏食と経口女性ホルモン剤 (OFH) を単独または同時に投与して, 大動脈結合組織成分の含量の変化を調べた. 大動脈のコラーゲン, エラスチン及びグリコサミノグリカン (GAG) のいずれの含量にも, VE欠乏食単独による量的変動は認められなかった. OFHの単独投与は, 三成分の含量をいずれも増加させる傾向を示し, 中でもGAGの一分子種であるヘパラン硫酸含量を有意に上昇させた. それに対しOFHとVE欠乏食の同時投与は, GAG量を減少させ, 動脈壁での血小板凝集抑制作用の低下を介して動脈硬化を発症させる恐れのあることを示唆した.