1995 年 36 巻 1 号 p. 55-61_1
熱発光を用いた3種類の照射検知法について, 市販香辛料にγ線を照射し, 1年間保存した試料を用いて比較検討した. 試料を前処理なしに測定する直接測定法では照射の有無の判別はほぼ困難であった. 香辛料に付着する鉱物質を抽出する抽出測定法では, 照射試料すべてで熱発光量が大幅に増加した. しかし変動も大きく30kGy照射試料の判別も十分ではなかった. そこで2次照射を行いその前後の熱発光比を求める標準化法を検討したところ, 5kGy以上照射した試料では100%, 1kGy照射した試料では約90%が照射と正しく判定され, 照射香辛料の検知法として優れており, 実用可能であると評価された.