食品衛生学雑誌
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家庭用電子レンジによる食品の殺菌
小谷 スミ子阿部 敏也三間 孝
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1995 年 36 巻 4 号 p. 477-481_1

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抄録

家庭用電子レンジを用いたマイクロ波照射により, 冷凍えび (生菌数4.1×103/g) は40秒で, 冷蔵茶腕蒸し (1.2×102/g) は60秒で, 冷凍ピラフ (1.2×102/g) は4分で生菌数は平板培養法で検出できない程度 (101/g未満) に減少した. そのときの食品中心部の温度はそれぞれ55°, 25~30°, 80°であった. マイクロ波照射により, 生理食塩水に浮遊させた E. coli (4.2×103/ml) と S. aureus (7.0×103/ml) はいずれも約30秒で, B. cereus (1.6×105/ml) は90秒で検出できなくなった (101/g未満). そのときの菌浮遊液の温度はそれぞれ約50°と100°であった. しかし B. cereus 浮遊液を100°・30分加熱しても2×102/mlの芽胞が生残した. E. coli の生理食塩水浮遊菌液 (1~2×108/ml) をマイクロ波照射すると時間の経過とともに菌体タンパク質の細胞外流出が増加した. これらのことから, マイクロ波照射の殺菌力には, 温度に加えて別の因子が関与していることが示唆された.

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