海藻中に含まれる有機ヒ素化合物アルセノ糖の毒性学的評価を培養細胞を用いて行った. 被験ヒ素化合物は有機化学的に合成し, 細胞増殖阻止試験, 染色体異常誘発性試験及び姉妹染色分体交換誘発試験について検討を行った. アルセノ糖の50%細胞増殖阻止濃度 (ID50) は2mg/mlで, 亜ヒ酸ナトリウムの毒性の1/2800, ヒ酸ナトリウムの1/300であった. 染色体異常は5mg/mlの濃度においても15%の頻度でしか誘発されず, また姉妹染色分体交換 (SCE) を起こさないことから, 細胞毒性の低いヒ素化合物であることが推定された.