1996 年 37 巻 4 号 p. 202-209_1
ある食中毒事例の中毒原因として, トリカブト属植物の混入が疑われたので, トリカブトの毒として中毒原因になるメサコニチン, ヒパコニチン, アコニチン, ジェサコニチンを分析対象にHPLC, LC/MSを用いて同定・定量を行った. その結果, 中毒原因食中にメサコニチン0.415μg/g, アコニチン0.153μg/gが含有されており, ヒパコニチンの存在も推定された. このことから中毒原因食中へのトリカブト属植物の混入が明確になった. また, 中毒原因食とメサコニチンのマウス毒性試験からアコニチン類の含量を推定することができた. 更に, 山形市に自生するオクトリカブトの根についてもアコニチン類の含量を測定してみたところ, 中毒原因食と同様にアコニチンよりもメサコニチンの含量が多いことが分かった.