食品衛生学雑誌
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クロセチンを指標物質とした食品中のクチナシ黄色素の確認
食品中の天然色素の分析 第5報
山田 貞二大島 晴美斎藤 勲早川 順子
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1996 年 37 巻 6 号 p. 372-377_1

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抄録

食品中のクチナシ黄色素の確認法として, クロシン又はゲニポサイドを指標物質とする分析法が用いられている. しかし, 両指標物質ともに検出できない事例を経験したので, アルカリ加水分解により色素成分から生成するクロセチンを指標物質に採用し, HPLCで分析する方法を考案した. 食品からの色素抽出物を0.1N水酸化ナトリウム中, 50℃, 30分間放置して加水分解した. ゼリー, キャンディー, せんべいを用いた添加回収率は, クロセチンとしてそれぞれ85.6, 86.0, 80.5%であった. クチナシ黄色素の使用表示がある20件の食品を分析したところ, 比較対照用のクチナシ黄色素と異なるクロマトグラムパターンを示した食品は11件あり, そのうち5件からはクロシンが観察されなかった. しかし, 加水分解によりすべての食品からクロセチンが検出され, その分析値は0.1~13.4μg/gであった. なお, ゲニポサイドが検出された食品は3件にすぎなかった.

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© 社団法人 日本食品衛生学会
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