食品衛生学雑誌
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殺菌クン蒸効果に関する研究 (第3報)
糸状菌胞子のクン蒸における作用時間または投薬量の影響
戸部 敬哉
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1964 年 5 巻 1 号 p. 27-32

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抄録

臭化メチルのガス濃度が, 100%, 90%, 70%, 50%, 30%の場合, またクロルピクリンのガス濃度が1.86%, 0.93%の場合に, Asp. oryzaePen. islandicumを用いて, 作用時間と死滅率曲線を, また作用時間が20分のときの臭化メチル-Asp. oryzaeの系について投薬量と死滅率曲線を求めた. その結果, これらの型はいずれもsigmoid型であることが確認された. そこで, “本分布が作用時間または投薬量そのものに対して正規分布する”という仮設をX2-testで検定したところ, 大半の実験においては, 本仮設が採択された.
一般に, 微生物または害虫の作用時間と死滅率の関係は, 過去の文献にみられるごとく, sigmoid型 (殺虫剤-昆虫) と指数型 (薬液-細菌) に律せられるが, 本実験において用いたクン蒸剤と糸状菌胞子の関係が, 上述のごとく, sigmoid型であることは興味がある. しかも, これは作用時間そのものに対して正規分布する. この傾向は, 投薬量と作用時間の関係においても全く同じである. したがって, 正規分布の概念はそのまま適用されるわけで, 実用的クン蒸条件の決定, または効力の表示法等に多くの示唆を与えることができる.

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