小児耳鼻咽喉科
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原著
市中病院小児科における乳幼児急性細菌性副鼻腔炎への取り組み
成相 昭吉
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2009 年 30 巻 3 号 p. 293-298

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抄録

  鼻道の他覚的所見から乳幼児急性細菌性副鼻腔炎(ABS)を診断することは,小児科医には容易ではない。アメリカ小児科学会(AAP)は臨床症状から診断する診療ガイドライン(GL)を2001年に公表し,10日以上30日以内持続する湿性咳嗽が重要であることを示した。
  今回,外来において小学入学前の 6 歳以下の乳幼児を対象に,湿性咳嗽が10日以上持続する症例を ABS と診断し,アモキシシリン(AMPC)80 mg/kg/日,分 3,3 日間を初期治療とする診断治療指針を作成した。2008年 3 月~2009年 2 月の間に運用し,この診断治療指針が妥当であるか検討した。
  診断例は16例(平均年齢:2.8歳)であった。湿性咳嗽の持続時間は平均12.7日,膿性鼻汁は15例,後鼻漏は 3 例,診断時に38°C≦の発熱は 6 例で認めた。AMPC 初期治療が有効だったのは13例(78.6%),いずれも 2 日間追加し終了とした。一方,無効例は 3 例で,いずれもアジスロマイシンに変更し軽快した。

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© 2009 日本小児耳鼻咽喉科学会
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