小児耳鼻咽喉科
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原著
マイクロデブリッダーにて治療を行った小児喉頭乳頭腫の1例
大久保 剛平川 勝洋立川 隆治井門 謙太郎
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2010 年 31 巻 1 号 p. 49-53

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抄録

  若年型喉頭乳頭腫の多くは再発性気道乳頭腫症であり難治性であることが知られている。本邦における外科治療の中心はレーザー焼灼術であるが,欧米においては,マイクロデブリッダーによる手術が第一選択とされている。今回我々は,小児喉頭乳頭腫に対してマイクロデブリッダーにて手術を行ったので報告する。
  症例は 3 歳 4 カ月 男児 主訴は嗄声
  喉頭乳頭腫の診断の下,平成20年 8 月,全身麻酔下に顕微鏡下喉頭微細手術を施行した。内径3.5 mm の小児用カフ付き気管チューブを使用し気道確保を行ったのち,小児用喉頭直達鏡にて術野を確保,XPS 2000 Powered ENT System Skimmer Angle–Tip Laryngeal Blade を使用し病変の切除を行った。術直後より嗄声の著名な改善を認め,気道狭窄等生じることなく,術後 3 日にて退院となった。切除標本の病理組織診断は扁平型乳頭腫と診断された。切除標本にて施行した HPV(DNA)ジェノタイピングにては HPV は検出されなかった。平成21年11月現在,明らかな局所再発なく経過している。

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© 2010 日本小児耳鼻咽喉科学会
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