小児鼻副鼻腔疾患において手術を検討する場合,発育段階にあるということなど,成人との違いを考慮しなければならない。小児の副鼻腔炎は保存的治療に反応しやすく,なかには自然治癒が認められるものもあるので,まず保存的治療を優先する。保存的治療を行っても改善のないものや鼻ポリープを合併するものが手術適応となる。われわれは小児の副鼻腔が発育途上であることを考慮して,年齢により術式を選択している。後鼻孔ポリープ症例に関しては例外であり,基部を残すと再発をきたすことがあるので,比較的低年齢でも上顎洞を大きく開放して基部の処置を行う。鼻性眼窩内合併症は小児においても早急な対処が必要な疾患であり,眼窩骨膜下膿瘍,眼窩内膿瘍,視力障害を合併しているものは年齢にかかわらずに積極的に手術を行っている。多くは眼窩内側にあり,内視鏡下に鼻内から排膿することができるが,眼窩外側に形成された場合は外切開も必要となる。