顔面奇形を伴わない先天性鼻腔狭窄は,新生児・乳幼児の呼吸障害の原因の一つである。2002年 3 月から2009年12月までの間に当院で診察した先天性鼻腔狭窄例は,全 5 例であった。出生直後の呼吸障害(3 例),感冒を契機とした鼻閉を伴う呼吸窮迫(4 例),哺乳不良(3 例),栄養チューブ,吸引カテーテルの鼻腔内での通過障害(4 例)などの特徴的な病歴を呈していた。鼻腔内視鏡検査や副鼻腔 CT 検査を施行して診断を確定した。CT 検査にて固有鼻腔狭窄は 1 例,梨状口狭窄は 4 例であり,梨状口狭窄 4 例中 3 例は呼吸障害が重症でステント治療を必要とした。一方,症状が軽かった 2 例は α 刺激薬の点鼻または経過観察のみで,成長とともに症状が改善した。