小児耳鼻咽喉科
Online ISSN : 2186-5957
Print ISSN : 0919-5858
ISSN-L : 0919-5858
原著
外耳道に進展した小児咽後膿瘍の一例
三澤 由幾荒井 真木加藤 照幸細川 久美子三澤 清峯田 周幸
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 32 巻 3 号 p. 401-404

詳細
抄録

  小児の咽後膿瘍は咽後間隙のリンパ節炎から引き続いて生じる重症感染症である。今回我々は外耳道へ咽後膿瘍が進展した症例を経験した。症例は 1 歳 5 ヵ月女児で不明熱を主訴に当院小児科で点滴加療をうけるも改善しなかった。入院後右外耳道前下壁が膨瘤し切開すると膿汁が排泄された。同日撮影した頸部造影 CT で咽後部から副咽頭間隙を経て耳下腺間隙上方へ進展する陰影を認めた。同日咽後膿瘍切開術を施行し経過は良好であった。
  小児では骨部外耳道は未発達で,欠損部である Huschke 孔が存在し外耳道の炎症が頸部へ波及する経路といわれている。本症例では中耳や耳下腺に炎症所見はなく,この経路を通じて咽後膿瘍が外耳道へ進展したと考えられた。

著者関連情報
© 2011 日本小児耳鼻咽喉科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top