小児耳鼻咽喉科
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原著
咽後膿瘍との鑑別を要した川崎病の 4 例
入川 直矢小河 孝夫加藤 智久戸嶋 一郎清水 猛史
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2012 年 33 巻 1 号 p. 37-41

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抄録

  2005年 1 月から2011年 4 月の間に滋賀医科大学病院で川崎病と診断した106例中 4 例(3.8%)に,頸部造影 CT で咽後間隙に ring enhancement を伴わない低吸収域が認められた。それら 4 症例の年齢は 1 歳,5 歳,6 歳,11歳で,平均5.6歳であった。初発症状は全例発熱と頸部リンパ節腫脹で,頸部リンパ節炎として抗菌薬の投与が行われたが改善しなかった。その後数日で苺舌や不定形発疹など他の主要症状が出現し,川崎病と診断した。川崎病の診断後,γ グロブリンとアスピリンの投与が行われ症状は改善し,咽後間隙の低吸収域も外科的な排膿処置を施すことなく軽快した。
  抗菌薬への反応に乏しい小児の頸部リンパ節炎症例で咽後間隙の低吸収域が認められた場合は,ring enhancement の有無を確認することで川崎病の早期診断につながる可能性が示唆された。

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© 2012 日本小児耳鼻咽喉科学会
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