我々は「感覚器障害戦略研究」において,言語ドメイン(領域)別の言語発達評価(ALADJIN)の有用性とそれを用いて得られた知見について報告してきた。この結果に基づく具体的な指導方法について,症例を通して報告する。
言語発達期にある小児,特に聴覚障害児の日本語言語発達の全体を把握するためには,言語ドメイン別に発達を評価し,適切な難易度を設定した上でドメイン別に指導を行うことが重要である。その一方で,コミュニケーションおよび学習においては,ドメインが連携して機能することを理解しつつ支援する視点が必要であり,汎化についてもコミュニケーションや学習にどのように反映されたかを確認することが重要である。
症例では,語彙および統語において年齢に比して遅れが認められ,談話も苦手であった。各ドメインの発達状態に即した言語指導を行うことにより,指導のターゲットとしたドメインはもちろんのこと,コミュニケーションレベルにおいても改善が認められた。