小児耳鼻咽喉科
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小児滲出性中耳炎治療における自己通気療法の位置づけ
仲野 敦子
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2012 年 33 巻 3 号 p. 261-265

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抄録

  小児滲出性中耳炎に対する治療の一つとして風船を用いた自己通気療法の有用性に関して,自検例の検討と文献的報告を行った。難治性の滲出性中耳炎11名12耳を対象に,自己通気の実際の使用状況と効果を検討した。耳痛による継続不能例や急性中耳炎の合併は見られなかった。自己申告による成功は必ずしも有効な通気が行えていない例もあり注意が必要ではあるが,4 耳では治癒に至っていた。文献的には,1 日数回 1 カ月の自己通気により64~87%で効果が認められている。しかし,1 カ月程度での継続でも効果が認められない例では,鼓膜換気チューブ留置などの外科的治療が必要である。風船を用いた自己通気療法は,鼓膜委縮や陥凹が強い例では積極的に試みる治療であると考えているが,その他軽症例も含めた滲出性中耳炎全般に対しても治療の一手段として検討に値する方法であると考える。

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© 2012 日本小児耳鼻咽喉科学会
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