小児の声門後部狭窄は,新生児期の挿管により後連合の瘢痕が披裂軟骨関節まで広がり,輪状披裂軟骨関節が固着し,一見声帯麻痺にみえるが,神経麻痺がなくとも声門開大制限が生じることで知られている。かつてはこうした小児声門後部狭窄症例に対して喉頭截開術による手術が行われたが,我々は小児に対してより侵襲が少ない手術として,内視鏡下に輪状軟骨後部の瘢痕部位を縦に切開し,軟骨を挿入する内視鏡下輪状後部形成術を施行した。瘢痕による声門部や関節の固着がとれて声帯運動が回復し,発声機能もほとんど低下は認められず,術後 1 年でカニューレ抜去が可能であった。本治療法は小児の喉頭に大きな侵襲を加えずにより自然な回復が期待できるものと考えられ,低年齢児に対しても広く応用が可能になることが期待できた。