小児耳鼻咽喉科
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シンポジウム 2―難治小児疾患へのチャレンジ airway problem と嚥下障害
障害児の嚥下障害
森 正博
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2013 年 34 巻 3 号 p. 273-278

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抄録

  難治小児疾患へのチャレンジとして,嚥下障害への取り組みについて私の経験した 7 症例を報告し,課題や問題点について検討を加えた。症例 1 では不随運動,症例 2 では体力の消耗をそれぞれ軽減するため,口腔内処理が容易な食形態を選択する重要性を示した。舌突出嚥下に対する摂食介助として,症例 3 では下顎のコントロール,症例 4 ではコップの利用の有効性を示した。嚥下障害と呼吸障害との関連で,症例 5 では過開口時に鼻呼吸から口呼吸へ変化していることを確認した。過開口時の摂食介助において,呼吸に注意を払うことの重要性を示した。症例 6 では呼吸が最も楽な姿勢での摂食の重要性とその限界を示した。症例 7 では摂食中のけいれん発作と気管支喘息の存在が,嚥下時の危険性を高くしていることを示した。症例 6・7 の場合,胃瘻造設術や誤嚥防止術を選択する条件や時期について,早い時点から小児科主治医や家族と具体的に検討する必要がある。

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© 2013 日本小児耳鼻咽喉科学会
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